年頭の御挨拶を申し上げます。       本年も宜しくお願いします。

       2018年 1月1日    斉藤 孝


  75歳になり変態後期高齢者 に

   "Youth is not a time of life; it is a state of mind"

これはサミュエル・ウルマン(Samuel Ullman)の「青春の詩」の一節です。マッカーサー元帥愛誦の詩としても有名。確かに後期高齢者にとり励みになる内容です。

青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う。
薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。

(ボッティチェリのプリマヴェーラ  ウフィツィ美術館 イタリア)

しなやかな肢体  困ったのは「薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく」という部分に違和感が残っていることです。3月にフィレンツェのウフィツィ美術館に早朝一番に入館して、大好きなボッティチェリの 『プリマヴェーラ』を夫婦で独り占めできました。

テーマは「愛」。 中央に、位置を高くして君臨しているのは、愛の女神ヴィーナスですね。 『ヴィーナスの誕生』のヴィーナスと比べると、衣装を身に着け、慎み深い姿です。素敵なのは、透けるような白色のドレスを着用した妖艶な女性が描かれていることです。半透明のドレスをまとい踊る三人の女性は、左は「愛欲」、中央は「純潔」、右が「愛」の女神だそうです。しなやかな肢体の三人の女神に「ゆたかな想像力、炎える情熱」を感じます。75歳になり変態後期高齢者の仲間入りをしました。


尿酸値が高騰
 痛風になりました。フィレンツェの街歩きは苦行でした。トスカーナワインの飲みすぎでしょう。患者の顔を一切見ない医者がパソコンを見て、「尿酸値が高い」と一言。 3時間待っての病名「痛風」「薬、出しますね、お大事に」ということでした。こんなパソコン依存症のやぶ医者はAI(人工知能)によって一掃されます。

AIとオントロジ
 2017年のIT話題はAI(人工知能)でした。その普及によって消滅してしまう職業も多いといわれています。私は1990年代からAIについて研究してきました。AIのアルゴリズムとプログラム言語LISPやPrologなどについて著作を数冊書きました。
               (嘆きの壁 ヘブライ人の親子 エルサレム)

オントロジの研究に没頭していた時代が懐かしいです。
オントロジとは哲学用語で「存在論」のことですからAIとは無縁のものと思われますが、これこそが知識と呼ぶものでAIが人間並みさらに人間を超える能力を持つために必要なメタ知識(知識を処理するための知識)です。キーワードを統計的に処理しても知識の形成には役立ちません。

意味の理解と分類が要となります。すなわち物事を抽象化することによって概念を抽出する能力です。これをオントロジ(概念理論)と呼びます。例えば、ニワトリ、スズメ、ハト、ウグイスというものは存在しますが「鳥」というものは存在しません。鳥は概念であり分類されることによって名付けられました。オントロジをいかにして組み込むか。AIにとり最大の課題なのです。
(玄関先のツル薔薇 片瀬山)  (夕方が一番いい時間  鵠沼)


薔薇の花々とガーデニング
 ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロ氏の『日の名残り』は素晴らしい。その映画化で名優A.ホプキンスが演ずる老執事は一日を一生懸命働いて、「夕方が一番いい時間なんだ」という。私の場合は、ガーデニングの後でお酒が 伴いますね。

「空間」とは実体なのか。それとも人間が宇宙を理解する中で生まれた概念なのか。その解明にデモクリトス、エピキュロス、ピタゴラス、プラトンなどの古代の哲学者は生涯を捧げた。アリストテレスからアインシュタインまで数 千年にわたり「空間と時間」は人間の思考の枠組みを与える概念であった。

お経のような独り言ですが、薔薇の手入れで雑草と害虫との闘いには効果的でした。5月にオープンガーデンで多くの友人を歓待しました。

(ペトラの神殿 ヨルダン)                (薔薇のミニガーデンで宴 鵠沼) 

 

                         (新婚のアラブ人 アブダビ)

聖地を訪ねました ヒンドゥー教のベナレス、仏教のブッタガヤそしてキリスト教、ユダヤ教、イスラム教のエルサレムです。嘆きの壁、黄金のモスク、ベツレヘム・ナザレで敬虔に祈る人々にサラーム・シャローム。年末12月に訪れたエルサレムではヘブライ人もパレスチナ人も平穏にクリスマスを祝っていました。エルサレムは聖地であり世界の人々の国際的な首都なのです。

ローマカトリックというメディア テレビや新聞などメディアは、パレスチナで闘争が激化しているように大騒 ぎしてますが、メディアのみなさんには冷静な報道をお願いします。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教も共通の祖アブラハムから生まれた兄弟ですから仲良く暮らしてきました。宗教の違いを強調し、政治に利用してきたのは時の権力者です。その中でローマカトリック はユダヤ人を虐め、十字軍思想を生み出しイスラム世界と敵対させることを煽り立ててきました。かつては宗教でも真のキリスト教でもなく、ローマカトリックというメディア だったと思います。

アブダビのルーブル美術館

インドの人々はヒンドゥー教こそが宗教の原点であると誇りにしています。一神教の厳しさもなく穏やかで寛大な教えです。それを基にしたジャイナ教そして仏教は素晴らしい。中国西域の敦煌の仏像 のお姿。天竺ブッタガヤ・アジャンタなどからガンダーラ・パミールを超えてゴビ・タクラマカン砂漠を渡り飛鳥天平の日本まで遣ってきたのですね。

2017年の海外旅行は美術館巡りと聖地巡礼が目的でした。アブダビに出来たルーブル美術館ではマネが描いた横笛を吹く少年兵の絵画など名画の数々を身近に鑑賞できました。灼熱の砂漠にあるアブダビにこのようなルーブル美術館が 建設されたことに違和感を感じました。

(インドの女性士官候補生 インド)                          (敦煌のタクラマカン砂漠 中国)

ベドウィンの原点  アラブ世界の貧富の格差は嘆かわしい。パレスチナ、シリアからのアラブ難民は富める西欧世界を目指しますが、何故、サウジ、カタール、アブダビ、アラブ首長国など富めるアラブ世界を目指さないのか。偉大なムハマドの教えは人々に経済的な施しを説いています。豊かなアラブ諸国はお金だけでなく、同胞アラブ難民を大量に受け入れてください。アブダビの未来都市に投資するお金をアラブ難民と貧しいアラブ諸国に投資すべきです。アブダビにルーブル美術館は不要です。ドバイに巨大な西欧世界を創る必要 もありませ ん。輝けるベドウィンの原点に戻り平和なアラブ世界を復活させてください。

                              (マネの「横笛を吹く少年兵」 アブダビ・ルーブル美術館)

北朝鮮からの贈り物
「Jアラート」がスマフォに鳴り響きました。「Little Rocket Man」の贈り物は怪しげなミサイルと死体付難破木造船でし
た。
有事の際は焦土作戦も辞さない重武装の永世中立国家であるスイスは2000年代始めまで家を建てる時には防空壕(核シェルター)の設置が義務づけられていたそうです。日本の各都市に核シェルターは存在しません。国防の手段も乏しく、アメリカ軍頼りで情けない。軍事国家を復活させるのではなく、スイス、スエーデンそしてイスラエルのように自分自身の戦力で祖国を防衛したいですね。                


ファシストのような口調 まるで過激なファシストのような口調ですが、馬鹿正直な日本人に腹が立っているのです。誰かが言っていました。日本人は「馬鹿正直」な行動を貫いて、「馬鹿でも暮らしやすい社会」を築いた。日本人は自分の荷物を席に置いたままトイレに立つ。周囲の人を信じている 「まるで馬鹿」です。 しかし、これはいかにも日本人らしくて素晴らしいことです。規則を重んじ、他人を尊重するからこそ、自分の目先の利益だけを求めることをしない。小賢しく立ち振る舞わねばやっていけない日本ではないはずです。品格で頑張りましょう。

鴨川納涼川床(ゆか)・貴船清流川床(どこ)

 8月には京都夏の風物詩として納涼川床(ゆか)に参加しました。鴨川と貴船の両方ですが「床」の呼び名が違います。鴨川の床は「幾松」という名店。幕末勤皇の志士であった桂小五郎の贔屓した芸子幾松にちなんだ川床です。祇園の舞子・芸子さんとも歓談。真夏の京都は至福の夕べでした。

アルスロンガ・ワインが豊作

 松井田で育成しているワイン用葡萄が奇跡的に豊作となりました。その香りと味も豊潤で今までにない最高の品質でした。ワイナリーの四季とアルスロンガの楽園の日々は「2017年の松井田便り」をお読みください。9月に約260キロの収穫 葡萄をワイナリーに持ち込み、破砕作業を行いました。

7年前に遠征したヒマラヤ・トレッキングで一緒に行った仲間と毎秋にヒマラヤ戦友会を開いています。最長老は80歳にもなりお元気です。昔の写真を見ながら秋の夜を深酒しました。

(鴨川の納涼川床   京都)                                    (ヒマラヤ戦友会 鵠沼)

雪の白樺林
 八ヶ岳高千穂高原や浅間高峰高原でスノーシューを楽しみました。真っ青な空の下で白樺林の中の道なき道を自由に歩き回れる白銀の世界でした。お馴染みの信州の山々を楽しみました。

さて、2018年の目標です。お酒の量を適量に抑えようかと思いますがワインが豊作になり困ってます。安い焼酎のお湯割りを抑えて清純なワインに切り替えたいと思います。ただ厳冬期の軽井沢では冷たいワインよりも熱燗になります。5月の薔薇が満開になる春、薔薇の香りを楽しむにはワインですね。

(白樺林とスノーシュー八ヶ岳)                                                                                                 

                               (新雪の浅間 軽井沢)

一日を一生懸命ガーデニングして「夕方が一番いい時間なんだ」とブヅブツ独り言を肴にしたお酒を楽しみます。まちがいなく尿酸値の高騰。パソコン画面没頭のやぶ医者から「慢性痛風」と一言。3時間待ちの検診で「加齢」と診断されても我慢します。

      みなさまのご健康と御活躍を祈ります。   2018年1月1日    斉藤 孝

 

                  個人Webサイト http://www.rr.em-net.ne.jp/~saitotac/index.html

                         松井田アルスロンガ農園の記録



 

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