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カリフォルニア大学デービスの研究 「書誌暗黙知」の獲得

                               Updated 2002-11-05

                 

 デービス校では、斉藤 孝コンピュータ学部に所属していますから、

 コンピュータとネットワーク、そして研究者の環境は極めて快適です。

  私のKnowledge Studiesでは、従来のような机上研究だけでなく、

  ある意味では知識工学に似たような実験システム(仮説)を構築し、

 それによって実証するという研究姿勢が重要になります

    (デービス校のシンボルの水道タンク)

 

 カリフォルニア大学デービス校では、幸いにして実験の機会を得ることができました。

  それは私が描く知識モデル「書誌暗黙知」の獲得を試みるためのもので、RCTと呼ぶ実験システムで

   これまで私が過去に設計し開発した実験システムは LibAvatar と呼ぶものであり、

  表向きは図書館利用者のインタフェースとして活用され、

  内部では「書誌暗黙知」の獲得(聞き込み)に応用されました

    (知識エージェントの概要) 拡大します

 

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          RCT (Remote Collaboration Tool) プロジェクト

 

 この研究は、デービス校において、「書誌暗黙知」の獲得を世界規模までに

 拡大することのできる道具、RCT (Remote Collaboration Tool) を使用することによって実現しました

   RCT は、デービス校のWalters教授が開発した遠隔地からコラボレーションを行うシステムで

   それは時空を超えた知的共同作業を目的としたもので、主に遠隔地教育に向いています

    (Richard Walters 教授)

 

 ただし、教師から生徒へ一方通行による教育ではなく、生徒同士、教師と生徒、その他研究者が

  ある教育テーマを基にして双方向に情報交換し、相互に知識を育み、素朴な知識から専門知識への協調と、

  その知識ベースをインターネット上に構築することができるものです

  例えば、教師と生徒がそれぞれ違った場所にいて、あるテーマでインタラクティブに授業を行います。

 生徒は、教室の黒板や生徒のノートに相当するものを各人のパソコンの画面に表示させます。

 (ログイン画面)

          

  もちろんマルチウィンドウ画面です。その画面には授業のテーマ、その進捗、先生の講義、

 教材メニューが表示され、生徒からの質問、各生徒の会話の状況などが表示されます。

 文字、音声、映像、そしてその組み合わせによるマルチメディアでそれらの情報が

  相互交換されます。

  (クライアント画面) 拡大します

      

          

   RCTはコンピュータによる学習支援システムのように見えますが それと大いに異なるのは、

  まず教室という概念が世界中のインターネット接続されたパソコンに形成されることで

  いわゆる仮想的な世界教室であるわけです 次に、様々なテーマを中心にして議論され、

  それをデータベースに集めて保存し、後で検索活用できるようになっていることです

 (Thomas Amsler 研究員)

 


        実験の概略      暗黙知をコラボレーションする。

 

     このようなRCTの特色から、それを暗黙知の獲得装置としての応用が可能になります

     では、RCTを応用する概略を示しておきましょう

 

 まず利用者はRCTのテーマ黒板を利用して、匿名の書誌暗黙知のグループを生成します

 利用者は言語、地域、時間を超えたインターネット上に展開される仮想図書館にいることになります

 まるで蔵書を抱えた実世界の図書館と同じ状況をシミュレーションできることになるわけです

 

 (書誌暗黙知の分身の誕生) 拡大します

 

 利用者の好みの蔵書について、それをどのように探し出したか、

 キーワードの選択と検索式の作成手順などの探索戦略及びそれによって

 検索された書誌情報、さらに読後の所見と感想などを記録していきます。 

  そのような非定形な文字列はRCTのデータベースに蓄積され、

 書誌暗黙知データベースとして管理されます

 (分身に対してチャットで意見を述べる) 拡大します

 

 世界中の利用者は、まず書誌暗黙知データベースを検索し、自分の好みのものを知り、

 それに対し新たに自分の意見が付け加えられていきます。

 このようにして書誌暗黙知データベースは、さまざまな利用者の書誌暗黙知を写し取り、

 成長していくことになります。

 

 (誰かが模範分身を披露する) 拡大します

            

 やがて、暗黙知データベースは「形式知」へ変換され、「知識ベース」へと構築されるためには、

 重複した書誌暗黙知の分類と整理が行われます。 

  そして、「知識ベース」は、あたかも自律した知識Agentのようにコラボレーションを行い、

 自己組織化によって増殖していくわけです

 

 (分身の仲間と書誌暗黙知の獲得) 拡大します

 


I would like to thank the following persons:

Dr. Richard Walters of the Department of Computer Science, University of California at Davis, who gave me an opportunity for my sabbatical visit in 2002. He provided research space to conduct Knowledge Studies entitled Remote Collaboration Tool (RCT).

Thomas Amsler, staff programmer for the RCT project who provided source materials that were used throughout this work.

 

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