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アメリカ歴史の旅(その2) 偉大な自由の国そして差別の国
カントリーウェスタンとゴスペル
カントリーウェスタンのメロディーには、哀愁のあるアイルランド民謡に似た響きを感じました。スコットランドやウェールズなどアングロサクソンとは全く別なケルト人の魂を感じます。
陽気なゴスペルソングではブラック・アフリカの人々の苦しい奴隷時代、それにも負けないアフリカ人の明るさがあります。不屈の闘志に敬服しました。
ジャズやプレスリーの持ち歌の多くにもゴスペルが反映されています。
黒人系アメリカ人こそ、本当のアメリカ人なのかもしれません。
アメリカ文化の圧縮「ラスベガス」
賭博と快楽の町ラスベガス。ネオンの巷を歩くと、現代の様々なアメリカの様相をシミュレーションしているようです。町全体が巨大なテーマ。まるで映画のセットを歩いているようです。模型の町を楽しげに歩くアメリカ人の姿から文化水準を測ることができます。やや軽薄で、本物を知らないけれども、それで十分満足しています。
どこの小さな町でも歴史を大切にしていますが、アメリカ人にとって世界とは、月世界と同じように遠い存在であり、未知なものです。他国の歴史などに全く関心がありません。それよりも食欲と快楽です。まさにラスベガス精神 です。
世界中から人々は来たのですが、国際人の集まりにならなく、偉大な田舎者の社会になりました。その文化を世界一と勘違いするという悪い癖もあります。因習の民族アイディティから逃れ、無の存在になり、ラスベガス世界に同化することがアメリカ人になる証なのかもしれません。
グランドキャニオン
ウィリアムズバーグ アメリカ文化の記録システム
歴史と文化の記録システムとして、ハリウッド映画を忘れるわけにいきません。
2003年のアカデミー賞は、3月23日に第75回受賞式で決まりますが、『シカゴ』『ギャング・オブ・ニューヨーク』『めぐりあう時間』など候補に上がっています。アカデミー賞は、アメリカ人が選ぶ、アメリカのための賞ですから、まさにアメリカ文化の先端を讃えるようなものです。 伝統文化の典型ともいえるミュージカル作品、『シカゴ』に決まりました。その第75回アカデミー賞では、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が長編アニメーション賞を獲得しました。
「イカサマ選挙で決まったイカサマの大統領をいただいて、作りものの世界に生きている」
ところで、日本でもヒットしているドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」のマイケル・ムーア監督は、カリフォルニア州の市民団体から表彰された式で、イラク戦争を「不必要な戦争」と述べ、ブッシュ大統領を強く批判しました。ムーア監督は「(ブッシュ大統領は)9月11日のテロがもたらした国民の恐怖感を利用し、テロとの関連の証拠も示さずにイラクを攻撃した。テロの犠牲者を冒涜(ぼうとく)する行為だ」と批判しました。
彼の受賞スピーチは強烈でした。「我々はノンフィクションが大好きだ。なのに今は、イカサマ選挙で決まったイカサマの大統領をいただいて、作りものの世界に生きている」「我々はこの戦争に反対だ。ブッシュよ、恥を知れ。お前の持ち時間は終わった」
自由の国、アメリカの良心は健在です。
味オンチとマンモス肥満食文化
歴史は食文化にも影響します。ハンバーガーの食べすぎによる肥満が、マックの責任として訴訟されそうです。アメリカ人の肥満は、「味オンチ」に原因があります。長年にわたるハンバーガー、ホットドッグ、ホップコーンなどジャクフードの過食。そして甘いソーダ類、コーヒー、ステーキによる弊害です。どこのレストランの味も大味で雑です。もはや破壊された味覚器官に対して、いまさら繊細な味をインプットしても効果ありません。
西部の名門スタンフォード大学
WASP (White Anglo Saxon Protestant) 白人の条件
現代アメリカを支えている精神と文化は、アグロサクソンによるものです。略するとWASP。それが意味することは、白人の条件とは、アングロサクソンであり、新教徒であること。つまり英国系であることです。英国系であってもカトリック教徒のアイルランド人は違います。大陸のフランス人、イタリア人、東欧のスラブ系の人々もその仲間ではありません。オランダやドイツのプロテスタントはWASPの一員になれます。
アシュケナージやセファディーンと呼ばれる東西ユダヤ人もWASPから除外されてきました。このようなWASP思想は、どこでも残っており、喋る米語や伝統も違うように感じました。インテリ階層はWASP思想に限りなく憧れています。イタリア人やギリシャ人など非WASPの人々は差別されてきました。多くの東欧系の人々は名前を変えて、その民族的出生を隠して偽WASPになっています。
吹雪の東部(拡大します)
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