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小話 その2 <----
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カメのアイデンティティー
本名は大学卒業までは「亀谷孝」でしたが、1967年に母親の再婚先の名前である「斉藤孝」に改名しました。その後2002年になり顔にも髭を付け人相までも改造しました。変わらないのはカメという愛称だけですが、多くの先輩諸氏から未だ私の正体が明らかにされていません。容貌が加齢も加わり激変したことにもよります。
自分は一体何者だったのか。そんなカメのアイデンティティーを探るというが今回の小舎番の目的でした。うら若き乙女が「自分探し」にでも出かけたような清々しい時間を雪山で過ごせれば素晴らしいと思いました。雪の浅貝は50年ぶりですから何もかもが懐かしい。
(写真)スキーを楽しむ(1964年)

ぼっとん便所
新築された小舎は一代目とは変わっていましたが、乾燥室だけは玄関脇にあり変わっていないと感じました。すのこの上に寝袋を乗せ寒さを耐え、スキーの秘密練習に熱中したことがありました。水洗ウォッシユレットのトイレに座り思い出したことは、その昔の「ぼっとん便所」と汲み取りのWC
のことです。雪道を肥桶をさげ天秤棒を用いて運搬しました。数回滑りましたが溢すことなく雪道には黄金のラインだけが続いていました。「自分探し」の目的は、雪見酒と懐かしの山旅の歌 を大声で吠えるという50数年前と変わらない結果に終わりました。これこそがカメのアイデンティティーなのではと納得できた小舎番でした。
雑文を最後に
このような雑文を最後にして足跡を滅し去って跡を残したくはないという願いもある。わが身を振り返るとかつて瞼に浮かんだ未来の姿が形を整えた。この歳になりようやく私が経てきた人生の時間が見えてきた。まだ生臭く欲深さが残る。ありのままの自分を受け入れることの難しさを痛覚する 。人生80年とすれば残された時間はあと10年。そこにあるのは老いと死だけである。もはや研究生活などありえないだろう。何をやりたかったのか。哲学だったのか。私は自身の教養の確立という目的のため、哲学に源流を求めた。もしかして歴史だったかもしれない。図書館の歴史、情報の歴史、知識の歴史など、歴史そのものではなく歴史にみる情報だったのか。
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幼い頃の記憶と重なった
私を産み育ててくれた母親(トミ)に深く感謝する。1942年の激動の時代の中国で誕生し、敗戦の混乱期を守り続けてくれた母親の愛情を忘れない。敗戦後の焼土と化した日本に引き揚げてきた。小さな私の手は母親にしっかりと握られて、破れたリックサックを背に担いで歩いていた。辿りついた母の実家の富山市はB29の空襲で全市まる焼けであった。焼け焦げた黒いトタン板をよく覚えている。東北の被災地で見る一面に広がる惨たらしい光景は、私の幼い頃の記憶と重 なった。2011年の夏は灼熱の太陽の下、宮城県の多賀城に始まり石巻そして気仙沼まで、3ヵ所の被災地でボランティアとして汗を流した。石巻専修大学キャンパスの芝 生でテント生活を送った。そこには世界中の若者から老人までが集まっていた。泥水に浸かり悪臭のする家屋の掃除、津波に流された牡蠣種を入れるホタテ貝の整理、ボランティアの仕事は様々であった。何か体力で支援できればという私の願いが実行できた。年寄りの微力な支援によるものであるから大した成果は表れなかったが、貴重な体験となった。
(写真左上) グランドキャニオン (写真左下)西安兵馬俑
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概念理論
「空間」とは実体なのか。それとも人間が宇宙を理解する中で生まれた概念なのか。その解明にデ モクリトス、エピキュロス、ピタゴラス、プラトンなどの古代の哲学者は生涯を捧げた。アリストテ レスからアインシュタインまで数千
年にわたり「空間と時間」は人間の思考の枠組みを与える概念であった。ライプニッツにとって「空間」は物体の位置関係を、「時間」は出来事が起こる順序を語るための言語にすぎなかったが、同時代のニュートンにとっては宇宙に構造を与える枠組み(スキーマ) であった。やがてアインシュタインにとって「空間と時間」は、宇宙そのものを作る素材であり、相対性理論と呼ぶ宇宙の謎を解く珠玉の概念となった。概念理論とは厳めしい名前であるが、ここで 取り上げるものは極めて単純で情報インデックスと呼ぶデジタルメディアの情報を明らかにするプロ グラム設計に関わるものである。これを別名、計算可能意味論と呼ぶこともできる。名前のとおり意味の解釈をコンピュータ処理(アルゴリズム化)できないものかを研究する。その応用となるものが情報インデックスである。
(写真左) ワシントン州 カスケード山脈
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リテラシー
人は概念の世界に住んでいる。人は世界を理解しようとする時、あらかじめ大まかな構図を持って いる。これこそが世界を構成する概念の枠組みであるスキーマとなるものではないのか。その昔、書籍という小さなスキーマを学び取ることをリテラシーといった。たしかなことは、その原語のリテラ (Litera)が表している。それは文字で表された主題は抽象化された概念であり、いかにして実世界の 具体像に対応付けて描くかという文字の解読能力のことであった。リテラシーは、表層に現れた文字 だけでなく、深層に潜む
概念の構造というスキーマを認知することも目的であった。人々は絶えず押 し寄せる情報に意味を与えるために、思考や世界観についてのスキーマを学んできた。それを用いることで組織化された社会的行為や慣習化さ れた境界を示すことができた。スキーマは情報という主題を把握する視点を定めてくれるもので、
概念の枠組みを示す概念文法でもある。スキーマは図解されるとタクソノミーになり、記号化されると分類記号やメタデータなどの情報インデックスとなる。
知的イマジネー ション
概念理論の研究では、図書館の雰囲気や環境が重要である。その薄暗い教会のドームに似た高い天 井には、ギリシャ神話と哲学者の姿が描かれている。またギリシャ語によるソクラテスとアリストテ レスの
言葉がプラネタリウムの星座のように輝いている。天井の四方の壁面には、ソクラテス、ガリ レオ、ダビンチ、エラスムス、ボルテール、カントなど古今東西の哲学者、賢者、
論理学者、数学者、芸術家、文学者、歴史家など知識の発展に寄与した人々の肖像画や彫刻像がある。その中には歴史を 描いた絵画、哲学の系譜、科学の発展、探検と冒険、
発見と発明、分類の歴史など図解も含まれてい る。それらの絵画にかこまれた空間に、蔵書が並べられた書棚と閲覧机があり、人々は思い思いに読
書をし、知的瞑想に耽っている。図書館というものは、読書・閲覧するというよりは、知的イマジネー ションを活性化させる場所であると思った。
(写真
左) 中国 タクラマカン砂漠 (写真右) 中国 敦煌 莫高窟
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電脳環境普遍的存在
電脳環境普遍的存在すなわち ubiquitousとは、ラテン語の複合語であり、分解するとubi は英語の「where」に対応し、ubique とすることにより「everywhere」を意味する。日本語では「どこでも」となる。そこには時間の概念は含まれていなのだが、「いつでも」の意味を加えて拡大解釈された。 神の普遍的存在を表したいからだろう。国立国語研究所の訳語では、「時空自在」としている。ちな みに中国語訳では「普遍存在的」としている。私ならば「電脳環境普遍的存在」と表現したい。この 漢字の熟語に、オントロジ的な意味が凝縮されているからだ。 “私のコトバの境界が私の世界の境界を意味する。”このウィトゲンシュタインの名言は、人間と記号について的確に表している。 人間は、記号 用いて世界や人間自身を意味化してきた。記号を駆使することなしには、人間は
思考することはできない。ユビキタス社会において人間記号は、透明・仮想的に自己を拡散し、分散し、人間を喪失させる。
アルゴリズム
ユビキタスは、アルゴリズムという人間の記号化だけではなく世界の記号化を行う。記号化とはアルゴリズムのことであり、ユビキタスに対し記号を操作する意味を伝える。 ライプニッツは、0と1だけから知的宇宙全体を構築できると唱えた。コンピュータが0と1だけのビッ トにより情報処理を行い、人工知能のように
知識を表現できるとなると、ライプニッツの主張は空想とはいえない。彼の夢は、科学、法律から政治まで、人間の抱えるあらゆる問題を理性的、体系的に、そして論理演算によって処理する普遍的方法を確立することだった。人間の思考を記号で表し、機械的に処理することは歴史上の哲学者や数学者の夢である。(写真左) シリア パルミラ遺跡(1993年3月)
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機械は考える
ライプニッツは、空想のコンピュータを 組み立て、この世界に関する
真理が体系化される普遍的な書記法で書かれた記号言語を思い描き、概念のリスト、つまり記号の機 械的操作だけであらゆる問題に決着をつけてしまうアルゴリズムを創造 した。そして後世になりアラン・チューリング(A.Turing)などの哲学者・数学者はアルゴリズムの 数学的定義を提示した。チューリングは、心を使わない計算とされたアルゴリズムに
反対した「機械は考える」という仮説を示し、それを実証するチューリング・テストを試みた。現代のアルゴリズム の解釈は、すべての問題を解く、有限個の操作からなる手続きである。ライプニッツの予言どおり、 現代ではアルゴリズムを記述したプログラムにしたがって作業を行うコンピュータが登場し、アルゴ リズムが社会にとってもつ重要性は飛躍的に増大している。 (写真
右) 卒業生のみなさん
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死海文書 トーラー(モーゼ5書)
若い羊飼いが洞窟からヤギを出そうとして洞窟に石を投げ込んだところ、巻き物を収めていた陶器に当たった。
クムラン写本と呼ばれることもある。死海北西の要塞都市クムランの近くの11箇所の洞窟で発見された。この写本は、紀元前2世紀の中頃から紀元後1世紀にかけて書かれたもので、約800巻あった。その断片の30%はヘブライ語聖書であり、25%は、伝統的なユダヤ教の宗教文書であった。残りの約15%は、まだ判明していない。アラム語で書かれたものもあり、また、ギリシア語で書かれたものもあった。洞窟で発見された写本断片は、ユダヤ教徒とキリスト教にとって、歴史的な発見となった。知識の記録、その形式化を伝えるものといえる。忘れ去られた2000年前のヘブライ語が蘇った。記録情報を形式化した威力である。直接眼にした死海文書とトーラーから覗える仕組みは、「世界史のなかの情報システム」の研究にとって大いに刺激を与えてくれた。クムラン教団の隠者の洞窟ともいわれる。一切の世俗的なものを捨て去り、神との対話だけの修道生活を送った。第1洞窟の7つの巻物は、旧約聖書のイザヤ書のヘブライ語本文、教団規定、戦闘規定、ハバクク書、外典創世記、感謝の詩編であった。また出エジプト記などヘブライ語聖書、ミカ書などの聖書注解書などの文書の断片もあった。(写真左) 中世の旧約聖書
クムラン教団
トーラー、タルムード、旧約聖書などの記録には、コンコルダンスやハイパーテキストという記録アルゴリズムが巧みに組み込まれている。巻き物と陶器は、ライブラリのハードウェアであり、ヘブライ文字とギリシア文字による記述、聖書という形式化と体系化された記録はライブラリのソフ トウェアであった。ライブラリアンはクムランの隠者であり、修行によって彼らの頭の中に暗黙知のハイパーテキストが写し取られた。このような要素から構成されたライブラリは、情報システムの原型といえる。隠者はやがて死ぬがライブラリを残すことは可能だ。
世界に離散したユダヤ人は、このライブラリを「トーラー」に凝縮したと思われる。ラビはトーラーとタルムードによって情報システムを復元した。キリスト教もイスラム教もこのような情報システムを真似たことになる。
古代ヘブライ語は、2000年に渡る離散中に忘れ去られていた。現代イスラエル語の語彙の中には、クムラン文書を参考にして復活させたものもある。このように記録情報が正確に保存されていたからだ。まさに、タイム・カプセル。それに比べると、CD-ROMやDVDなどの電子記録をタイム・カプセル化することは不可能だ。21世紀に生きるわたしたちは、2000年後の未来に対し、いかなるメディアで語ることができるだろか。ITやユビキタスと呼ぶ電子社会の未来は、実に虚しい。
(写真右) ヘブライ文字の墓石
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