斉藤 孝のガーデニング  軽井沢で山野草のロックガーデンをつくる  

 日本の原点である里山に学び、山野草の小さな庭をつくりたい。できるだけナチュラルな雰囲気のもの。そんな庭をわざわざつくらなくとも軽井沢の野山には山野草の宝庫をどこにでも見つけることができます。実に物好き変人です。どうしても自作の山野草の秘密の庭つくりがしたい。そこで時間を忘れて、お酒を飲みたい。浅間山麓の溶岩石を集めてロックガーデンにして苔を付けて、日陰の野草を育てました。

スミレ  
世界に400種類あるといわています。日本では40種類で私の庭には5種類あります。タチツボスミレ、ニオイスミレ、コスミレ、マルバスミレなどです。どれもが野生で、種が飛んで増えています。

アマドコロとナルコユリ
弓状に伸びる茎に葉を付けて、白い小さな花を付けました。葉には白い斑があります。ナルコユリも似た姿をしていました。野生のギボウシとオニツダを大量に植えて、野草の群落を演出しました。たしかに野草の配置は大切で、それによってナチュラルに見えるようになります。近くの森で採取したギボウシ、スミレ、シダ類を岩の周りに植え付けました。さらにイカリソウ、ツボサンゴ、ヘビイチゴ、ホタルブクロ、ヒトリシズカなどを次々と植えて、雑然としています。 


ヤブラン 
真夏から初秋に紫の花が開きました。
ホタルブクロ
赤や白の花を数輪下向きに咲かせます。風に揺らぐ風情はなかなか優雅です。
多くの採取は、軽井沢だけではなく、木曽や黒姫山、菅平、蓼科などの山林で春夏に行いました。もちろん各地の野草園でも購入しました。その種類は以下のとおりです。

ギボウシ、スミレ、ユキノシタ、ヒメシャガ、ショウジョウバカマ、エビネ、イチリンソウ、クマガイソウ、レンゲショウマ、チゴユリ、マイズルソウ、ダイモンジソウ、カンアオイ、アジュガ、クリスマスローズ、ムスカリ、水仙、クロッカス、イワカガミ、 カタクリ ユキワリソウ、ヤブレガサ、ケマンソウ、スズラン、アスチルベ、フウロソウ、トラノオ、タデソウ、ミズヒキ、ツボサンゴ、ツワブキ、ドクダミ、オダマキ、福寿草、ユキノシタ。

ギボウシ
日陰の庭の主役はギボウシです。野生のものから購入したものまで10種類を植えました。重ねた葉の美しさ、紫の花も可憐です。苔生し岩の間にオシダとタマシダを配し、蓼科で採取した野生のエビネとチゴユリ、マイズルソウを混ぜてみました。シダ類は、春に黄色の新芽を出し、茎は黒いですが日々緑色した葉が伸びてきて美しくなります。巨大なオニシダの群は太古のジャングルのような雰囲気になります。早春、まずスミレが咲き、ケマンソウと福寿草と続きます。野生のヘビイチゴの白い花、赤い実はアクセントになります。ヒトリシズカの水平に伸びる白い雄しべ、一本の花穂が伸び上がってきます。

タデソウとミズヒキ
白い糸のように咲くミズヒキや赤い小豆のようなタデソウは秋の花です。
マムシグサ
ユキモチソウまたはマヌシグサともいわれ、まるで蛇のコブラが立ち上がった姿に似ています。サトイモ科の球根で、早春の林にその姿を見ることができます。似たものにクマガイソウがありますが、これはラン科に属し全く違う種類です。

ホトトギス
初めて見たとき、その花の色がややグロテスクに思いました。ユリ科の野草の名花です。

チゴユリ
ひっそりと白色の小さな花。群落になりました。マイズルソウこれも小さな白い花を付けます。やがて愛らしい球形の果実になり、赤くなりました。
アジュガ
紫の葉を持つアジュガ・レプタンスは外来種ですが、次々とランナーを伸ばし地面を覆いつくす、丈夫なグランドカバーです。

コケサンゴ

コケサンゴも濃い紫色した葉を持っていて、アジュガに似ています。春先にピンク色に近い白い花が咲きました。

イワカガミ イワカガミは高山植物です。つやつやした葉が特徴で、小さな赤い花を付けます。岩壁の雰囲気にしてイワカガミを大切にしています。

クロッカス
冬にかれた草類や落ち葉が残っているところに、いち早く咲くクロッカス。

ムスカリ
ムスカリの球根は晩秋に植えて、腐葉土で厚くマルチングしました。毎年、同じ場所に芽が出てきますが、小さな花しか咲きません。

クリスマスローズ
松井田の友人宅から貰ったクリスマスローズは巨大に成長し、まるでツツジかシャクナゲのような灌木のようです。

森の草花にとって生育条件は、根元が涼しく、葉には木漏れ日がさし、腐葉土で覆われていることです。早春の新芽、真夏の様々な緑、秋の紅葉と落ち葉、真冬の雪に覆われた枯れた姿、同じロックガーデンでも趣と風情があるものです。
凍てつくような冷たい風や霜のなかで、じっとこらえている草花の球根を讃え、熱燗で乾杯。

巣箱と餌台をつくりバードウォッチング
所有者のわからない隣の林の木に5個の巣箱を掛けました。シジュカラ用に小さな穴をあけたものです。初夏には全部の巣箱に彼らは入り込み、子育てしていました。餌台を2か所に設け、水飲みもできます。巣箱の名前は、帝国ホテル、オントロジの館などと命名。朝夕の野鳥の声を聞きながら、庭の手入れをします。
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