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日本の旅 八方尾根 『わが心高原にあり』と『草原の輝き』 2023年7月23日
『わが心高原にあり』
学生時代はロマンチストだったのか、「高原」や「草原」というコトバに憧れた。
若いころに覚えた英語の語句。
My Heart's in the Highlands
これは、ウィリアム・サローヤン(William Saroyan)の短編戯曲(1939年)である。
ウィリアム・サローヤンがアルメニア出身の作家であることにも興味を持った。
アルメニアと聞くと、思い浮かべるのはアララト山。その麓に「ノアの箱舟」が流れ着いたという旧約聖書の物語。
アララト山はアルメニア人にとり民族のアイデンティティー。日本人にとり富士山のような聖山なのだ。
20世紀初頭のアルメニア人はオスマントルコからの弾圧でジェノサイド(民族浄化)の危機にあった。
必死に逃れたアルメニア人は、わずかであるがアメリカに移住できた。
ウィリアム・サローヤンの父親はアルメニア難民であり、彼はカリフォルニア州のフレズノで生まれた。
『わが心高原にあり』
もしかしてアララト山とアルメニアを懐かしんでいるのでは・・・・、
失われた故郷とアルメニア人のアイデンティティーを訴える悲痛なコトバであるように聞こえた。
同じ時代にアナトリアに住んでいたギリシア系住民も苦しめられていた。エリア・カザンの映画『アメリカ・アメリカ』(1963年)はそんなストーリーを物語っている。
この映画は、監督のエリア・カザン自身の実体験に基づき自ら書き下ろした小説。主人公は口癖で“アメリカ、アメリカ”と連呼し続ける。
『草原の輝き』
「Splendor in the Grass」 これはエリア・カザンの有名な映画(1961年)。女優ナタリー・ウッドが好演した青春物語だった。映画のタイトル『草原の輝き』は、19世紀英国詩人ウィリアム・ワーズワースの自然讃美の詩に由来する。
草原が輝いていた時
花が美しく咲いていた時
それを取り戻すことは もうできないけど
私たちは嘆かないことにしよう
そして
その奥にまだ残っている
生命の力を見い出す事にしようではないか
(女優ナタリー・ウッドは『ウエストサイドストーリー』で熱演していた。私の若き頃のポートレートは、彼女と共演したかのような妄想を露見している。お恥ずかしい欲望。)
生命の力を見い出し、
そして輝きだけは、失わないと誓った二人。“アメリカ、アメリカ”と念仏のように唱えるギリシャ人の青年スタヴロスとアルメニア人の青年ホハネスはアメリカ行きを共に仲良く目指した。
無事大西洋を渡りニューヨーク港の移民入国のエリス島に到着。そこには「自由の女神」がほほ笑んでいた。
(2015年6月、私たちはアララト山をアルメニア側から遠望した。その聖なる山は今はトルコ側にある。広大な葡萄畑の遥か彼方にアララト山、その横には小さなミニアララト山が守護していた。)
自由の国アメリカ
不法移民に違いないがアメリカは二人を温かく受け入れてくれた。懸命に働き、次々と親類縁者をアメリカに呼び込んでいった。最後に残ったのは年老いた母親一人だった。
これが偉大な自由の国、アメリカの本当の姿に違いない。アメリカは不法移民で成り立った国なのだ。これからもアメリカンドリームを誰もが叶えられる偉大な自由な国であってほしい。
『わが心高原にあり』と『草原の輝き』
わが青春にとり忘れられないコトバである。
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