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日本の旅 信州・須坂 「紅葉の米子大瀑布」 2023年10月22日
紅葉が真っ盛りのカルデラ絶壁に二つの滝が流れ落ちていた。水しぶきは霧状になびいて巨大な屏風の錦絵のように遠望できた。
二条の真っ白なレース
「米子大瀑布」は、信州・須坂の山の中にあった。日本の大瀑布といえば、「日光の華厳の滝」を思い出すが、「米子大瀑布」とは、いささか大げさな表現である。水量は少ないせいか太い糸のような流れが落ちている。落差89mの「不動滝」、その後ろには落差82mの「権現滝」が見えた。二条の真っ白なレースのようにも見える。小さくても絶壁が広いので、なかなか迫力があった。
熊よけの小さな鐘
老夫婦は紅葉に誘われてヨタヨタと登り始めた。熊よけの小さな鐘が道標にぶら下っていた。80歳代の老婆が襲われたそうだ。熟女に熊は振り向きもしないという。熊の相手は人間とは逆なのだろう。しばらく渓谷を進むと吊り橋があった。人数制限があり一人ずつ渡れと書いてある。一歩一歩慎重に重い足を渡す。清流が岩に当たり冷たそうだ。
修行者の「みそぎ場」
米子大瀑布は、四阿山の火山カルデラの絶壁に流れ落ちる。四阿山は上州の高峰山や黒斑山など浅間山系から眺めるとなだらかな独立峰に見えるが信州・須坂からは切り立った絶壁になっている。根子岳に通ずる登山道も見つけた。菅平の真後ろに米子大瀑布は位置しているわけだ。
米子大瀑布は信仰の山である。二つの滝の間に不動尊(奥之院)が祀られている。滝は古くから修行者の「みそぎ場」になっている。日本の山岳信仰は、素朴で清く、どこでも自然と一緒で厳かである。真っ赤に燃え黄色に飾られた米子大瀑布は綺麗だった。
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