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メルボルン 「ヴィクトリア州立図書館  2023年8月26日〜31日

オーストラリアの知的遺産
メルボルンの知的遺産は「ビクトリア州立図書館」であると当初は非常に感激した。 「La Trobe Reading Room」と呼ぶ中央の閲覧室には細長いテーブルが放射状に配置されている。 まるで南半球の南十字星のように広がっている。巨大なドーム状のホールが印象的だった。4階から6階まで吹き抜けになっている。
1856年に完成したオーストラリア最古の図書館で、メルボルンの誇る歴史的建造物である。 3万点の蔵書をはじめ、数十万の絵画、新聞、地図と写真、マイクロフィルムそしてデジタルメディアまでが所蔵されている。 市民は無料で利用できる。

オーストラリア分類
図書館の重要な機能である分類はどうなっているのか。私の専門はオントロジ(概念理論)と呼ばれるもので 一言でいえば分類学である。UDC(Universal Decimal Classification)に似たオーストラリア分類が採用されていた。

分類は知識の結晶であり、分類化の知的プロセスには、「わかる」とは「分ける」というオントロジから始まる人類の知識の獲得・表現の歴史が刻み込まれている。

図書館そのものを陳列する博物館
21世紀は、デジタル情報社会になり、許容量を越えて爆発するような情報空間の中で、人々は日夜仕事や遊びに追われ、奴隷のように過ごすことでオントロジを忘れ去っている。 「ビクトリア州立図書館」でも閲覧者の多くは、分類など気にしないで、しかも紙の書籍を読んでいなかった。持ち込まれたパソコンとスマホだけで閲覧机を使っていた。
リファレンス図書類は綺麗に並べられて、まるで壁紙のようであった。世界中で書籍は読まれていない。
図書館の蔵書は、Webに吸収され一枚の電子タブレットだけである。書籍の活字も電子タブレットで読めるようになった。活字という表現は、文字を印刷する書籍のために生まれたのであるが、電子書籍の発展に伴い「活字離れ」がさらに進み、「活字文化」は衰退するだろう。

「ビクトリア州立図書館」は、滅びゆく活字文化の象徴のようだ。

     図書館そのものを陳列する博物館と言えるだろう。

多民族融和の文化が開花

2023年のメルボルンは別名「ガーデンシティ」と呼ばれる緑豊かな都会だった。花が咲き乱れる公園が数多くあり、優雅な雰囲気を醸し出していた。
流刑の地として暗い歴史があるメルボルンであったが、現在は多民族融和の文化が開花している。

世界中の難民を受け入れたオーストラリア。

   「Immigration Museum」(移民博物館)

その入り口に、次のように書かれていた。

 More than nine million people have migrated

     to Australia since 1788

 Countless others have tried and failed

昔は白豪主義を標榜して、原住民のアボリジニを虐待し、19世紀初めに到来した中国人も差別してきた。インド人やメラネシア人やポリネシア人も人種差別の対象だった。 英国系の白人を主体とする国家を理想とした。オーストラリアは18世紀から19世紀末まで、英国の流刑地であったがメルボルン近郊で発掘された金を目当てにする移住者が増えていった。 アメリカ西部のゴールドラッシュに似た発展を遂げた。1950年代から1970代の初めまでに差別的な政策は撤廃、白豪主義は断念された。

現在のオーストラリアは難民大国といえる。これまではアルメニア人、ギリシア人、バルカン諸民族、ポーランド人やウクライナ人、ユダヤ人などヨーロッパからの難民。 続いてトルコ人、アフガニスタン人、レバノン人とシリア人など中近東。20世紀はベトナム人、インド人、パキスタンやバングラデシュ、ビルマとタイ、インドネシア人、香港からの難民。アフリカも含めて世界中から難民を温かく受け入れてきた。

メルボルンは特に、中国系の移民が多く、香港やシンガポールと似た雰囲気だった。インド系やベトナム系も多く東南、西アジアの街を歩いているようだ。
オーストラリア料理とは中華料理と言えそうだ。「日式」と呼ぶ寿司やおにぎり、菓子パンなどは日本と同じ味だった。アングロサクソン食は「フィッシュアンドチップス」だけみたいだ。

メルボルン大学は州立の総合大学でもアジア系の留学生が多く、ここも華僑系とインド系の学術世界と思えた。
オーストラリアの将来は、豪州からアジアに属する国になるだろう。

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