ホーム |  独り言  |  論評  |  小話  旅行  | 御挨拶 ガーデニング   |  ブログ  |  English  | YouTube 

 旅行 <-----  現在のページ                                                     戻る  -----> 旅行                 


世界の旅  北マケドニア・スコピエとオフリッド湖 

 「イスカンダル大王に会う」  2023年11月25日

 北マケドニアの首都スコピエの広場に巨大なイスカンダル大王像が鎮座していた。イスカンダル(Iskandar)とはアラビアやペルシャで呼ばれるアレクサンドロスのこと。現在のマケドニアは人口の半分以上がイスラム教徒なので「イスカンダル大王」と呼ぶ。

本名はイスカンダル
 古代ギリシアのマケドニアが生んだ世界的な英雄である。その脇にはイスカンダルの父親フィリップ2世像もある。さらに母親オリンピアスの妊娠姿の像もある。それはマケドニアの母の泉と呼ばれていた。
スコピエは、町中がイスカンダル大王一族の記念碑オンパレードだった。

スラブ人のアレクサンドロス
 北マケドニアはギリシア人の国ではなくスラブ人の国である。

   アレクサンドロスはスラブ人だったのか ?
   イスカンダルと呼ぶからアルバニア人だったのか ?

 古代マケドニアはギリシア人の世界に含まれると言われているが、本当だろうか。アテネやスパルタなどポリスを中心としたエーゲ海沿岸に栄えた地域と異なり僻地だった。

 現代ギリシアは、北マケドニアが古代マケドニアとは全く異なる地域であると主張。アレクサンドロス大王はギリシアのものであると独占し熱狂する。
両国は戦争まで始めるような状況になっている。馬鹿げた話だ。
アレクサンドロスでもアレクサンダーでもイスカンデルでも古代の話。どうでもいい話ではないか。国際関係は騒々しく、時には危険であるが子供の喧嘩のようで面白い。

 マケドニアの国旗は、まるで八条の旭日旗にソックリ。赤い日の丸は日の出の太陽を象徴する。スコピエは冬空の下で雪が舞い寒かった。カレ要塞はスコピエを見下ろす丘の上にあった。
オスマントルコ時代の要塞。モスクのミナレットが多く見られるが正教教会もある。北マケドニアは宗教が複雑に組み込まれているから歴史マニアにはたまらない興奮。

改宗イスラム教徒のマザー・テレサ
 マザー・テレサは、イスラム教徒が多いアルバニア人の両親から生まれた。
マケドニアはキリスト教ならば正教が当たり前であるが、彼女は少数のカトリック教徒であった。マザー・テレサはカトリック修道女になって遥々インド・カルカッタまで出かけて行った。イスラムとヒンディー世界に飛び込んだ勇気のある修道女だった。マケドニア生まれのカトリック修道女は1979年にノーベル平和賞を受賞した。さらに2016年にはカトリック教の奇跡があると認定されて聖女にもなった。こんな宗教が混沌とした北マケドニアで生まれたアルバニア人少女の波乱に満ちた人生。マザー・テレサは20世紀の聖女。そしてイスカンダル大王の生誕の地で生まれたのか・・・。

オスマン時代のモスクミナレットが多く見られるが正教教会もある。
寒さに震えながら歴史話にどっぷりと溺れた至福の一時になった。

オフリド湖と聖ヨヴァン・カネオ教会
 アルバニアとの国境にオフリッド湖が広がる。水深が155メートルもあるが、透き通った湖はなんと透明度20メートル以上もある。湖の奥に連なるアルバニア側の山々は雪で真っ白だった。科学雑誌『 National Geographic』の表紙を飾った教会を訪ねた。教会の名前は、「聖ヨヴァン・カネオ教会」と呼ぶ。オフリド湖岸の崖の上にたたずむ小さな教会。青く澄み切ったオフリド湖と真っ白な山々を背景にしてレンガ造りの教会が見事に溶け込んでいた。

キリル文字(グラゴール文字)
 ロシアやウクライナなど東スラブ系文字はキリル文字を使う。ラテン文字とは異なり馴染みが少ない。旧ソ連を構成したカザフスタン、ウズベキスタン、トルキスタンさらにモンゴルなどもキリル文字を使う。
キリルとメトディウスの兄弟によってキリル文字(グラゴール文字)は普及した。マケドニアは聖キリル兄弟の誕生の地であるという。

キリスト教徒の宗教税
 オフリド旧市街の中心に「聖ソフィア教会」があった。内部に描かれたフレスコ画はバルカン半島のビサンチン芸術の中でも最高傑作の1つといわれる。
偶像崇拝を嫌うオスマントルコ時代においてもイコン像は無事だったようだ。キリスト教徒は宗教税を納めて500年も耐え忍んできたのだろう。
オフリドはバルカン世界におけるキリスト教文化の中心として栄えた。

バルカン半島
 2023年11月22日から始まったバルカン半島の旅。最初はブルガリアの首都ソフィアから一台の御大型バスに17人の乗客を乗せて出発した。
12日間の長旅。厳しい寒さのバルカン半島、こんな冬の季節に山岳地方を観光するという変わり者17名。巡礼のような雰囲気だった。
ブルガリア、マケドニア、コソボ、アルバニア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、セルビアの7か国を廻るというバス旅行だった。
心配事はコソボとセルビアの紛争、雪道の山岳道路、ホテル事情など欧州辺境バルカンの状況である。たしかに道路は狭く山岳地帯では大変苦労したがアルバニア人ドライバの運転テクニックは実に慣れたもので安心できた。国境越えは西欧とは違い、パスポート拝見そして下車による歩行検査もあり厳しい。雪の舞う寒空で国境を徒歩で超えた。

● YouTubeのスライド動画(約3分)

「バルカン半島7か国の旅」
数十枚の旅の写真が自動的に表示される。音楽はバルカン半島諸国の民謡。



https://youtu.be/Ul_XnqwYziw

(続く)

(1) 「イスカンダル大王に会う」 

北マケドニア・スコピエとオフリッド湖                   
(2) 「正教とイコン」 

ブルガリア・セルビア・モンテネグロ                

(3) 「火薬庫バルカン」

アルバニア・コソボ・ボスニアヘルツェゴビナ


    ホーム |  独り言  |  論評  |  小話  旅行  | 御挨拶 ガーデニング   |  ブログ  |  English  | YouTube 

旅行 <-----  現在のページ                                                          戻る  -----> 旅行


 

 

inserted by FC2 system