日本の旅 2022年以降
日本の旅 礼文敦盛草を愛でる 礼文島と利尻島 2022年6月3日
礼文敦盛草
中高年女性にとり、こんなにも大人気の花なのかと驚いた。クリーム色した小さな可愛らしい花である。レブンアツモリソウは、礼文島でしか見られない希少な花。
6月中旬にかけて見ごろで全国から女性達が群がる。残念ながら、うら若き女性は少ない。
優雅な淡い色の花をつける。その袋の形を平家の若武者『敦盛』の付けた弓除け袋に喩えた。
その敦盛を討取った『熊谷直実』に因む「熊谷草」は、藤沢・片瀬山で毎年見てきた。
礼文島に咲く花々の多くは、サハリンやカムチャッカ、アリューシャン列島などを故郷とする。3000メートル級の北アルプスに咲く氷河期の高山植物が平地の礼文島で気楽に見られる。レブンコザクラ、レブンキンバイソウ、レブンウスユキソウなど、礼文島でしか見られない固有種の花が多い。
利尻山
利尻富士(標高1,721m)とも呼ばれる利尻島に位置する独立峰。懐かしい思い出の峰だ。60年前、大学2年生の夏休みに友人と二人で北海道を一周した。当時流行のカニ族の貧乏旅行だった。簡易テントを背負い一ヵ月放浪した。
花の礼文島は香深に泊まり、利尻島では利尻富士にも登った。
海抜ゼロから二千メータまで往復登山したことになる。
6月初旬の利尻山には残雪が残っていた。
稚内と宗谷岬
鉄路の日本最北端は稚内駅である。その昔は、南樺太まで鉄道連絡船でつながっていた。ロシア系住民の保護を口実にして狂人プーチンは攻めてくる。海峡の43キロ先にサハリンは位置している。不法占領している北方4島はロシアの崩壊で返還されるだろうか。
6月初旬の宗谷岬は気温9度で北西の風が強く、海は大荒れだった。
澄海岬(スカイミサキ)
礼文島のスカイ岬は、まるでスコットランドの「スカイ島」のようで、断崖は北海の冷たい荒波に洗われていた。もの凄い風なので老夫婦を吹き飛ばす。荒涼とした岩山は翼を広げたかのような形している。今宵はハイランド地方のウィスキーで冷えた体を温めたくなった。
桃岩展望台まで天然の花畑の連続である。レブンキンバイソウの群落「キンバイの谷」を登った。
ミヤマオダマキ、 高さは25cmほどに育ち、高山植物の中でも比較的大型。
レブンコザクラ、 小花が手まりのように集まって咲き、斜面を紅紫色に染める。
レブンウスユキソウ、 白い綿毛で覆われ、雪が薄く積もったように見える。
レブンソウ、 礼文島固有のマメ科の植物。
レブンシオガマ、 礼文に自生するヨツバシオガマ。
エゾノハクサンイチゲ、 本州のハクサンイチゲと比べると背丈が少し低い。
リシリヒナゲシ、 日本に自生する唯一のヒナゲシ。
西海岸の山の斜面に多く見られ、見事な群落を形成していた。
新緑のトド松とエゾ松の自然の森をトレイルした。
海の向こうに浮かぶ利尻富士は美しかった。
"山高くしてゆめがある
山高くして唄があり
ここ最果ての利尻よ礼文
君を訪ねて姫沼かなし
われら島を愛して
旅を行く" 『島を愛す』
日本の旅 京都 「80歳の修学旅行」 2022年11月19日
天晴な紅葉の日本庭園。穏やかな自然の美。
『金閣寺』は、金箔に塗り込まれていた。
厚化粧であるが、清楚な室町庭園の中で落ち着いていた。
雨上がりの山道を登り、夕闇の『清水寺』を眺めた。
海外の若者達で大変賑やかだ。
ベルサイユなど人工庭園しか見たことのない異邦人。
自然と静けさを尊ぶ日本庭園は理解できないだろう。
大陸系庭園は、人為的な美しさを再現することで、権力を誇示。
自然すらも文明で支配できるものと強権的に主張する。
隠遁したら命を奪われる異邦の権力者。 一神教の恐怖。
隠居しても自然庭園を愛でる日本。 多神教の寛容。
『平等院』は老夫婦のために絶景ポイントを与えてくれた。
ノンビリと一週間も過ごす終活の京都旅行だった。
町中がテーマパークになっていた。SNS撮影のために観光しているようだ。
京都の名所とは、寺社仏閣ではなく日本庭園にあるようだ。
自然との調和を重んじ、自然への敬意、移り変わる時間。
わび・さびという美意識。
これこそが日本庭園の魅力と確信できた。
80歳の修学旅行で学んだ。
続き
(1) 「寺侍」 森家のルーツを探る 2022年11月20日
(2) ブログ 「80歳の修学旅行」 2022年11月19日
https://wni30fioix9p.blog.fc2.com/blog-entry-47.html
日本の旅 江ノ島 『80歳の忘年会』 2022年12月30日
江ノ島で夕焼けを眺めた。
12月30日なので大晦日前日の日没。
伊豆半島の天城山近くに、真っ赤に燃える太陽が沈む。
左に江ノ島とタワーが黒いシルエットを描く。
右にピンク色に染まる富士山と箱根の山並みが見える。
丹沢山系を包み込む雲はピンク色に変わった。
暗闇になると江ノ島のタワーがライトアップされた。
夕焼けの余韻が残っていて、相模湾の空はまだ赤い。
まるで富士山をバックから照らしているようだ。
こんな美しい富士山の影絵は見たことがない。
小田原から茅ケ崎まで続く町明かりが点灯している。
江ノ島のタワーは、真っ白なドレスを着飾った美女のようだ。
柔肌を黒のショールで少し隠し、夜会服の優雅な立ち姿。
是非ともワルツを一緒に踊りたい。
江ノ島で「80歳の忘年会」を家族で祝った。
80歳になれば、歳を忘れたい。
そんな願いを込めて、赤ワインで乾杯。
みなさんの無病息災と幸福を祈った。
2022年は世紀末のような混沌とした世界だった。
人類とは今だ野蛮な存在であると、厳しく審判を受けた。
文明は後退している。21世紀から18世紀まで逆戻りした。
コロナ禍は、まだ終わらない。
3年前に中国・武漢で発生したパンデミック。
3年を経て、生まれ故郷の中国に戻った。
コロナ禍を政治的に操ることは許されないだろう。
ロシアとウクライナの兄弟喧嘩は、まだ終わりが見えない。
19世紀末の塹壕戦によって骨肉の戦は続く。
憎しみを増幅するだけだ。二人のコメディアンは誰を楽しませたいのか。
人類は歴史を十分に学んではいない。都合よく忘れ去る。
平和と健康こそが人類共通の願いではないのか・・・。
江ノ島の美しい夕焼けとライトアップされたタワーは、
『80歳の忘年会』を祝ってくれた。
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